現在世界中で造波システムの開発競争が繰り広げられ、最新鋭の造波システムを導入されたウェイブプールの建設ラッシュが起こっている。ビーチニックの会場、静波サーフスタジアムにはアメリカン・ウェーブ・マシーンズ社のパーフェクト・スウェル®が導入されており、プロをも唸らす極上の波を堪能することができる。今回Blue.90号「ウェイブプール最新事情」から一部抜粋し、アメリカン・ウェーブ・マシーンズ社の歩み、そしてパーフェクト・スウェル®の造波システムについて紹介しよう。
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2000年に創業したアメリカン・ウェーブ・マシーンズ。創業者であるブルース・マクファーランドがワイメアでリバーサーフィンするサーファーの姿を見たことが研究開発のきっかけとなった。リバーサーフ可能なシステムを生み出すため、自宅の裏庭に1/12スケールのモデルをつくりテストを開始。2004年にプロトタイプが完成し、世界初の人工定在波装置『サーフ・ストリーム®』が誕生した。以来、世界各地のプールにこの装置を導入してきた。
そして2007年にターニングポイントが訪れる。カリフォルニア州ロングビーチにある「アクアリウム・オブ・ザ・パシフィック(太平洋水族館)」から、津波と通常の海のうねりの違いを視覚化するモデルの制作依頼を受けた。この展示のためにつくられたシステムが『パーフェクト・スウェル®』に発展していった。長い年月を経て、2018年にこのシステムを使った波でサーフィンを楽しむサーファーたちの映像がはじめて公開された。この映像は瞬く間に世界に拡散され、世界から注目を浴び、その勢いは今日まで引き継がれている
空気圧を使用して最高峰の波を生み出す
パーフェクト・スウェル®は空気を水に押し込んで波を発生させる空気圧式を採用している。空気を放出するタイミングと力などを制御するソフトウェアを用いて、プールの中央の壁に隠されたモジュールから多種多様な波を生み出す。波の間隔は静波サーフスタジアムの場合、60秒に1回のペースで3本のセット(2021年8月時点)に設定され、最大2.1mの波をつくることができる。
INFORMATION
ブルース・マクファーランドが2000年に設立したアメリカン・ウェーブ・マシーンズ。造波システムやウェイブプールの設計、エンジニアリング、製造、開発を行なう。2018年に『パーフェクト・スウェル®』を生み出し、世界各国で特許を取得している
photo◎Courtesy of American Wave Machines
translation◎Yasumichi Manzai